オタ福の語り部屋

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犬の口臭で考えられること(歯周病メイン)

今回は犬の口臭がする時に考えられる疾患について説明していこうと思います。

強い口臭の裏には病気が隠れている場合があります。

口臭の9割は口腔内疾患が原因と言われています。そして、中でも歯周病が原因であることがほとんどです。

今回は歯周病を中心に、その他で考えられる口臭について話していきます。

ちなみに、相談部屋の方では問診形式で病気を探せるようにした記事があります。

こちらも合わせて読んでみて下さい↓↓

otahukutan1.hatenablog.jp

 

 

【目次】

 

【口臭の分類】

口臭には大きく分けて2つに分類できます。生理的口臭病的口臭です。

生理的口臭

生理的口臭は病気ではなく、口腔内で起こる腐敗の過程による悪臭です。ほとんどの原因は歯垢によるものです。

人の場合、朝起きた時の口臭がそれに該当します。

感覚的にご理解されると思いますが、生理的口臭の場合、日常の歯磨きなどですぐに解消されます。

 

病的口臭

病的口臭についてはこれからメインにお話ししていきますが、病的口臭を示すこと=何か口臭が隠れているということが考えられます。

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【口臭の原因】

口臭がするという人の90%は口に何らかのトラブルを抱えているということが分かっています。

口臭の発生源でもっとも多いのものは歯周病です。

 

歯周病

歯周病には2つのステージがあります。

歯肉炎と歯周炎です。

 

歯肉炎とは

歯肉炎とは歯垢にいる微生物に感染し、歯肉に限局した炎症を言います。

この時点では歯根膜(歯周靭帯)と歯槽骨には炎症は波及していません。

歯肉感染は歯垢にいる細菌から始まり、もしこの段階で歯科予防や正しいホームケアメンテナンスを行えば、回復することができます。

 

歯肉炎の始まり

歯肉炎を引き起こす原因細菌は嫌気性菌で最初は低病原性のものです。

歯肉炎が酷くなるにつれて、細菌数は増加し、病原性の強いポルフィロモナス属菌などが増えていきます。

人では歯周病の原因菌としてポルフィロモナス・ジンバリスが有名ですが、

犬の歯周病の原因菌はポルフィロモナス・グラエが有名です。

これらは口腔内に常在した細菌で、乳酸やギ酸、コハク酸といった酸性物質を作ることで歯肉炎を引き起こします。

 

歯周炎とは

歯周炎は歯肉炎の次のステージを指します。歯周炎は微生物によって炎症が歯根膜や歯槽骨などの歯を支える構造にまで波及した状態のことを言います。この状態になると歯自体を回復することは不可能になってきます。

 

歯周病が発症する最初の原因はプラークが歯に付着することから始まります。

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プラーク歯垢)について】

プラークとは

プラークバイオフィルムの1つと考えられています。

唾液中に含まれる糖蛋白や細胞外多糖類の複合体に細菌が絡みつくことでバイオフィルムを形成しています。

バイオフィルムとは細菌同士がネバネバとくっつき、塊となったものです。シンクなどにピンク色のヌルヌルした膜ができることがあります。それもバイオフィルムです。

バイオフィルムを形成した細菌塊は物理的に破壊しない限り、抗菌薬なども効きません。そのため、日々の歯磨きはとても重要になってきます。

 

プラークのでき方

まず最初に歯の表面に唾液中に含まれている糖蛋白が薄い膜を張ります。

この膜自体は多くの蛋白質を含んだ唾液由来の薄い層で、酵素の他、細菌が付着するための場所として働く分子を含んでいます。

歯科予防を行った瞬間(文献では10億分の1秒後と表現されている)に作られるため、この膜に関してはほぼ予防は不可能です。

 

プラークはこの膜に細菌が付着した瞬間にでき始めます。

 

プラークが作られるには24時間かかります。これはつまり、1日でプラークが作られるということです。

また、プラークは完成後4日間成長し続けます。

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プラーク内の細菌

健康な犬の口腔内には嫌気性菌が25%しかいません。しかし、プラークが4日間取り除かれずに成長すると、口腔内の細菌は好気性菌から嫌気性菌へと細菌フローラの変換が起こります。嫌気性菌への変換は歯肉炎の始まりを意味しています。
 

【なぜ歯周病で息が臭くなるのか】

歯肉炎や歯周炎に関連する細菌のほとんどはグラム陰性嫌気性菌であり、揮発性硫黄化合物(VSC)を産生することが知られています。

VSC自体は生ゴミ臭い口臭を発する原因となりますが、これは生理的口臭に分類されます。

VSCが問題となるのは以下のことです。

 

口腔内のVCSレベルは歯周ポケットの深さと正の相関関係にあります。

これは深いポケットほど、嫌気性菌の割合が高く、多くの細菌を含んでいるということです。

息に含まれるVSCの量は、歯周ポケットの数、深さ、出血傾向に伴って増加します。

また、VSCは歯周炎の進行を直接的に加速させます。

歯周ポケットが深くなるとポケットの深部では酸素が行き届かなく、低酸素環境になります。

低酸素環境はアミノ酸(リジン・オルニチン)の脱酸化とpHの低下を招き、カダベリンプトレシンという異臭物質を産生します。

 

カダベリン:リジンが脱炭酸されたもので、死臭のような匂いを発します

プトレシン:オルニチンが脱炭酸されたもので、同様に死臭がします 

 

【口腔疾患由来の口臭(歯周病以外で)】

口腔疾患由来の口臭のほとんどが歯周病が原因ですが、そのほかの原因について考えていきたいと思います。

考えられる原因としては口腔内の感染症疾患、潰瘍、腫瘍、異物があります。口の中に口内炎や出血、デキモノが無いかを見てみましょう!

 

【口臭と勘違いしている口臭】

飼い主さんが口臭と勘違いしている場合もあります。

それは短頭種やスパニエル種、ウォータードッグでみられるまわりのシワが原因で起こっている間擦疹です。

間擦疹とはシワの間が擦れて、皮膚バリアが崩壊したことで細菌や酵母菌が過剰に増殖してしまったものです。 

口周りのシワに脱毛や発赤、フケなどが溜まっていないか見てみましょう!

 

【気道由来の口臭】

鼻腔 

鼻腔内の感染症は口腔内のそれと比べて、より強い悪臭を放つことが知られています。

いわゆる蓄膿症」ですね!

副鼻腔内に膿が溜まることで蓄膿症が起こります。副鼻腔炎歯周病から続発する可能性もあるため、歯周病が無いかも確認しておきましょう。

 

扁桃

扁桃に関しては人間の場合なので、多少動物との不一致はありますが、扁桃の病気が口臭に関係しているとも言われています。

悪臭を発する可能性がある扁桃の病気

慢性乾酪様扁桃炎、扁桃結石、そして可能性は低いですが、扁桃周囲膿瘍、アクチノマイシス感染症、菌状発育性あるいはその他の腫瘍なども可能性としては挙げられます。

 

気管と肺

呼吸器疾患由来の口臭の場合は慢性気管支炎、気管支拡張症があります。

気管支拡張症は気管の拡張や気道内で粘液・細胞成分の蓄積が起こるような慢性的な気道疾患の結果生じます。

一般的に慢性気管支炎や慢性気管支肺炎を患っている動物で見られます。

 

【消化管由来の口臭】

胃・食道

巨大食道症は食道に限局した拡張と蠕動運動の低下による病気です。

口臭は吐き戻し、体重減少、発咳を伴う巨大食道症の一般的な臨床徴候です。

口以外の消化器疾患から発生する口臭はレアです。

しかし、ヘリコバクターピロリ胃食道逆流疾患では口臭が報告されています。

 

【全身状態悪化に伴う口臭】

口臭を引き起こす全身疾患の鑑別診断リストには糖尿病、尿路感染、腎障害、肝疾患、癌です。

しかし、そのような全身疾患を患っている患者は一般的に口臭以外に診断に決定的な症状を示します。

 

糖尿病 

糖尿病はインスリン分泌、インスリンの活性化またはその両方の破綻により生じる病気で、慢性的な高血糖状態によって発見される代謝性疾患です。

インスリンの欠如あるいは活性化の低下は脂肪分解をうまくできず、血漿での遊離脂肪酸値の上昇を導きます。

糖尿病の進行によって、末期では糖を利用できず代わりにケトン体が合成され、エネルギー産生へと使われます。

ケトン体の自然崩壊産物はアセトンと呼ばれ、肺から吐き出されます。

アセトンは特有の悪臭となり、「腐ったリンゴ」とも言われます。

 

糖尿病に関する詳しい解説は↓↓

otahukutan.hatenablog.jp

 

腎臓疾患

腎機能の低下(尿毒症)は血液中の尿酸値を上昇させ、アンモニア臭をした息を排出させます。

これは魚臭い」と説明されています。

腎障害を隠れた原因を十分に調べるためには画像診断や血液検査、時に腎生検を行います。

 

慢性腎臓病に関する詳しい解説は↓↓

otahukutan.hatenablog.jp

 

末期の肝疾患

肝臓ではアンモニア尿素に変化し、腎臓から尿と一緒にアンモニアを排出する機能を持っています。

肝硬変を伴うような肝不全は尿素へ変換することができなくなるため、血液中にアンモニアの蓄積を引き起こします。

肝性口臭は肝疾患をもつ人で特有の臭い息です。

この口臭は肝臓代謝の欠損によって血液や尿に蓄積された揮発性のアロマ物質が原因です。

これは肝障害では末期の症状で、肝性脳症の臨床的特徴とも言えます。

肝疾患末期に起こる悪臭は甘い臭い匂いで、時々「死んだネズミ」という表現がされます。

 

【最後に】

口臭について解説致しました。

口臭のほとんどは歯周病です。

その他考えられる原因について説明しました。

歯周病以外の口腔疾患

・鼻腔内疾患

扁桃や気管、肺の疾患

・消化管疾患

・糖尿病、腎疾患、肝疾患

特に最後に紹介した全身症状悪化に伴う口臭は口臭単体で出ることはまず無いと考えていいでしょう。それまでに何らかの疾患があった延長にみられるというイメージです。