オタ福の語り部屋

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犬とも違う、猫の糖尿病

今回は前回の「犬の糖尿病」に引き続いて『猫の糖尿病』について話していこうと思う。

「え?犬の糖尿病と何が違うん?」

そう思われた方はぜひ、前回の「犬の糖尿病」の記事を読んで頂きたい。

猫は”小さな犬”そう表現されていた時代はとうの昔に過ぎている。

今回は猫の糖尿病に特化した話ができればなと思う。

 

【目次】

 【猫の糖尿病って何が違うの?】

 -まとめ① 

【糖尿病となる主な原因】

 -まとめ②

【猫でよく見られる症状】

 -まとめ③

【糖尿病の治し方って?】

 -まとめ④

【飼い主さんにできること】 

 

【猫の糖尿病って何が違うの?】

猫の糖尿病

前回でもお話ししたが、猫の糖尿病はインスリン抵抗性の糖尿病で、人でいう2型糖尿病に近い。

 

インスリン抵抗性の糖尿病になるメカニズム

肥満やステロイドホルモンによってインスリンがうまく働けなくなる

体は血糖値を下げるためにもっとインスリンを出そうと頑張る

インスリンが出る時、実はアミリンというペプチドホルモンも一緒に出ている。このアミリンがたくさん出ると膵島に※アミロイド沈着が起こる。

アミロイド沈着により、インスリンが出る膵島のβ細胞が破壊されるため糖尿病になる

 

アミロイドとは類デンプンとも呼ばれる異常蛋白の1つで、主に細胞外に沈着することで、細胞を傷つけてしまう。これがアミロイド沈着である。

 

まとめ①

・猫の糖尿病はインスリン抵抗性糖尿病

・最終的にはβ細胞が壊されてしまうためにインスリンが出なくなる

 

【糖尿病になる主な原因】

肥満

肥満によってインスリンがうまく働けなくなっている。

今までは肥満が原因になることが多かったが、キャットフードが充実してきたことにより最近は減っている。

 

膵炎

今は膵炎という、膵臓の消化液が自分の膵臓自身を消化してしまうことで起きる病気によって起こりやすくなっている。なぜ膵炎で糖尿病になるかというと、膵炎では消化液によって膵島のβ細胞を破壊してしまうからだ。最近の半分以上はこっちが原因。

 

炭水化物

そのほかに食べるものが原因となっている。

猫は肉食動物であるため、タンパク質をアミノ酸に変えて、アミノ酸ブドウ糖に変える代謝経路が活発であるのに対し、炭水化物を利用するのが苦手である。そのため、炭水化物を与えると、血糖値が上がりやすくなるのだ。

 

遺伝的要因+ストレス

遺伝的高血糖を起こしやすい猫がなんらかのストレスなどで、急に血糖値が上がると起きてしまう。

 

まとめ② 糖尿病の主な原因4つ

肥満インスリンが働きにくくなっている

膵炎:β細胞が破壊されてしまう

炭水化物:もともと猫は炭水化物を利用する機構が備わってない

遺伝:ストレスが引き金になる

 

【猫でよく見られる症状】

主な症状としては犬と重複している。

猫に特徴的に見られる、症状を書いていく。

①多飲多尿、多食、体重減少

 犬と同様のメカニズムで起こっているので、『犬の糖尿病【症状】』の項を参考にされたい。

 

②膵炎を基礎疾患に持つ時

先ほども述べたが、猫の糖尿病は膵炎により、膵島のβ細胞が破壊されることで起きることが多い。膵炎を原因とした糖尿病では元気や食欲にムラがあり、嘔吐や軟便などの症状が見られる。

 

③猫で多い合併症『末梢神経障害』

猫で有名な症状の1つで、末梢神経障害がある。

末梢神経障害とは手や足などの身体の末端部の神経が障害され、麻痺してしまっている状態のことをいう。

猫では踵を持ち上げることができず、下の写真のようにベターッと足をつけてしまう。この状態になれば、ジャンプもできず、運動性は低下する。

糖尿病が治ると、この症状も改善されるため、何としても糖尿病を治したいものである。

f:id:otahukutan:20180910104856j:plain『獣医内科学第2版』より引用

 

④糖尿病を放置すると起こる「非ケトン性高浸透圧性昏睡」

犬ではなりにくいのだが、猫では多い糖尿病の合併症の1つである。慢性の腎不全になった猫で発症しやすい。

簡単にいうならば、

『急激な血糖値の上昇+脱水+腎前性腎不全→血漿浸透圧の上昇』

1つずつワードを説明していく。

「急激な血糖値の上昇」インスリンが枯渇することで起こる。

「脱水」たくさんおしっこをすることで起こる。

「腎前性腎不全」とは血液量が減ってしまい、腎臓に血が回らなくなることで起こる腎不全のこと。脱水の延長で、血液量が減っているため起こる。

血漿浸透圧の上昇」は多飲多尿の説明でも書いているが、言うならば血管が水を引っ張る力が上がるのだ。すると細胞から水分がなくなり、血管内に集まっていく。細胞は脱水状態になる。

脱水に一番弱い臓器はだ。脳が脱水し、昏睡状態になる。熱中症で意識不明になるのと同じ原理。

非ケトン性高浸透圧性昏睡とはこういう合併症だ。

 

まとめ③

①よく飲み、よく食べ、よくおしっこを出す。体重は減っていく

②膵炎による糖尿病なら、嘔吐や軟便などの消化器症状を呈する。

③猫の糖尿病では踵をつけて、歩いているたら要注意!

④腎不全を併発すると、脳が障害を受け、昏睡状態になる。

 

【糖尿病の治し方って?】

食事療法

猫は肉食動物でタンパク質をよく摂らなければならない。その反面、炭水化物を利用するのが苦手なので、低炭水化物食を摂らなければならない。

詳しく述べると、

猫はグルコキナーゼやヘキソキナーゼの活性が低い。これらの酵素グルコースとATPを反応させ、グルコース6-リン酸を作り、糖を代謝する時に使われる酵素である。

猫はこれらの活性が低いため、炭水化物食を抑え、タンパク質中心の食事にしないといけない。

 

経口血糖降下剤

インスリンを出しやすくする薬である。犬では効かないが、猫ではしばしば効くことがあるので説明する。

インスリンを出しやすくするための薬なので、前提としてインスリン分泌能が生きていることが条件となる。膵臓からのインスリン分泌を刺激し、他の臓器でインスリンを利用する能力をあげる。

ただし、問題点がある。

インスリンをよく分泌させると、その分先ほど説明した、アミロイド沈着のスピードもあげてしまう。なので、やはりインスリン治療がメインとなってくるだろう。

 

インスリン治療

繰り返しになって大変恐縮だが、膵臓からインスリンが出る時、同時にアミリンが出る。アミリンは膵島のβ細胞に沈着し、β細胞を壊してしまう。その結果、インスリンが出なくなってしまうという悪循環がある。

この悪循環を早期に打破するために、早めのインスリン治療が必要なのだ。

外部からインスリンを注入することで、膵臓インスリン分泌の負担を減らしてあげることが目的だ。そして、じっくりと膵島の回復を待つ。

この治療法では糖尿病患者の約2割の猫が最終的にインスリン投与を必要としなくなる。目標はインスリンによって血糖値を100~300mg/dLに維持することである。

 

まとめ④

食事療法:高タンパク、低炭水化物食を心がける

経口血糖降下剤インスリン分泌能ありきの治療

インスリン治療:早期治療がネックになる

 

【飼い主さんにできること】

猫の糖尿病は人の2型糖尿病に近い。可愛くてつつお菓子のあげ過ぎで太っているのなら、まずダイエットを心がけよう。最近では肥満猫は少なくなり、膵炎による糖尿病が増えてきているため、猫ちゃんが吐いたり、下痢をしたりしていないか、気分を悪そうにしていないか、日頃の体調管理に気をつけてほしい。