オタ福の語り部屋

オタクじゃない、俺はオタ福だ!

犬の血尿、それ『移行上皮癌』のサインかも⁉︎

オタ福、『移行上皮癌』を語る。

移行上皮癌について話したいと思う。

犬の膀胱腫瘍で最もよく見られるのが、『移行上皮癌』だ。

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【目次】

【概要】

【原因】

【症状】

【治療】

【予後】

【化学療法(抗がん剤)について】

【さいごに】

【概要】

簡単に移行上皮癌の説明をしよう。

移行上皮癌は通常、高齢の犬(9~11歳齢)に発生する。

小型犬の雌犬に多い。

詳しい品種としてはスコッチ・テリアだ。

この子を飼っている人たちは今から言うこと十分注意してくれ。

 

【原因】

原因は不明とされている。

ただ、ある論文によると

ノミやダニ対策のための殺虫剤が移行上皮癌になるリスクを上げていると言われている。

 

【症状】

最も一般的な症状は血尿、排尿困難、頻尿だ。

膀胱の移行上皮癌で最も多くできやすいとされている部位は膀胱三角というところだ。膀胱三角は両腎から出てくる尿管の開口部と尿道口の3点で区画された領域だ。

ここに腫瘍ができるとどのような症状が出てくるかというと、まず膀胱の粘膜構造が破綻し、出血する。これが血尿の原因だ。

そのあと、腫瘍はだんだん大きくなりやがて尿管や尿道を塞いでしまう。これにより、おしっこを出すことが難しくなるので、排尿困難として症状が現れる。この時のワンちゃんはおしっこを出したいの出せないでいる状態なので、相当苦しいだろう。

頻尿もこの病態に付随したものと考えられる。

「おしっこが出せない→おしっこしたい→何回もトイレに行く→でも出ない」の繰り返しなので、頻尿という表現になるのだろう。

だが実際の病態としては頻尿はおしっこを蓄えることができない症状のことをいうので、正確には語弊がある。

つまり、まとめると

・血尿が見られる

・トイレの時間が長い、あるいはしぶりが見られる

・何回もトイレに行くが尿は出ていない

 

これらの症状が見られると、移行上皮癌の可能性もあるし、新生物による尿路閉塞が原因で尿が出ない場合、『水腎症』という不可逆的かつ重篤な腎疾患や『肝性脳症』といった神経症状が出てくる可能性があるので、早急に獣医に見せに行こう。

 

【治療】

この腫瘍は外科的切除が推奨されている。

可愛い我が子のお腹を切るのは可哀想だが、「何日もおしっこ我慢させられている状態」に比べれば 、早く苦しみから解放してあげるのが飼い主の使命である。

膀胱三角に腫瘍ができた場合、先ほども述べたようにここには重要な器官が多く集合しているため、なかなか「はい、切りまーす!」というわけにはいかない。

正直言えば、完全な切除は非常に困難である。

とりあえず、尿路を閉塞している腫瘍をとるという減量手術がメインである。そのあとに、化学療法や放射線治療を行う。

 

【予後】

移行上皮癌は悪性度が高く、転移の心配もある。転移の可能性は10~20%で、転移しやすい場所はリンパ節(腸骨下LNとか)皮膚である。悲しいことだが、腫瘍というものは本当にタチが悪い。僕は癌のことを「21世紀人類最大の敵」として見ている。

 

 

【化学療法(抗がん剤)について】

化学療法についてちょっとだけ話させてほしい。

移行上皮癌では主に三パターンの抗がん剤がある。1つずつ解説して行こう!

①ミトキサントロンorドキソルビシン+NSAIDs

詳しい話は割愛するが、ミトキサントロンはアントラサイクリン系の抗がん剤で肝臓で代謝される。そのため、腎臓に負担をかけないのがメリットだ。移行上皮癌を発症している犬では腎臓もかなり疲弊していることが多く、大変大きなメリットとなる。

2003年の報告で治療反応性:35%、PFS:194日、MST:291日とまずまずである。

 

②シスプラチンorカルボプラチン+NSAIDs

シスプラチンは白金錯体と呼ばれる系統の抗がん剤だ。

ただ、前に読んだ論文ではシスプラチンは腎毒性が強く、NSAIDs(ピロキシカム)との併用はより増悪になるので禁忌と書いてあった。このプロトコルはあくまで教科書的なので、あまり使わない方が良いのかも。ちなみにその論文ではカルボプラチンは移行上皮癌に効果が少ないので、あまり使えないと書いてあった。

 

③ビンブラスチン+NSAIDs

ビンブラスチンはニチニチソウと呼ばれる植物から抽出されたアルカロイドなので、個人的には抗がん剤の中でもかなり特殊なイメージがある。だから、よく他の抗がん剤で効かなくなった腫瘍に対してビンブラスチンを打つこともある。いわゆる「レスキュー療法ってやつだ。

 

移行上皮癌に対する抗がん剤3パターン

①ミトキサントロンorドキソルビシン+NSAIDs

②シスプラチンorカルボプラチン+NSAIDs

③ビンブラスチン+NSAIDs

 

【さいごに】

わんちゃんは話すことができない。「おしっこ出にくいねん」「最近な、血尿出るねん」なんて話してくれればどんなに楽なことか...

だからこそ、しっかり日頃から見てあげてほしい。そして、異変に気づけばすぐに獣医師に見せてほしい。

そうすることが早期発見につながり、1つ多くの命が救われることになるのだから。